早口は損か?
ポイントはここかな。
仕事上、日々いろいろな方とお会いするのですが、最近早口の人は仕事の上では損だなあと思うようになりました。
「仕事上」で「会う」人に対して感じたことだって部分。つまり普段一緒に仕事してる人ではないし、まして仕事以外で会う人の話でもないってこと。また、「仕事」が定義されていないのも見逃してはいけないだろう。
もう一つ、この文章の中の「早口」という言葉にはすでに「自分の話をまくしたてるばかりで相手の話を聞いていない」という属性が付加されているような気がする。というのも特徴として挙げられているものが、別に早口の人に限らないものばかりに見えるからだ。話が長いのは単におしゃべり好きなだけで、話が変わっていくのは整理できないだけで、相手の反応に無関心なのは単なる自己中じゃないだろうか。1
自分は特別早口だねと言われたことはたぶんないが、意図的に速く喋ったり遅く喋ったり、話を止めたりしている。これは速さの TPO というか、そうものがあると思っているからである。もちろん速さが必要なシーンもある。それは例えば議論の場だったり、ブレインストーミングでどかどかアイディアを出すときなどである。2特にブレインストーミングでは話の飛び火は悪いことではないし、むしろ飛び火の中から面白いアイディアが出たりする。このとき、科学的な根拠を持っているわけではないが、一定以上のスピードの喋りが自分を含めた参加者に刺激を与えると思う。逆にブレインストーミングの際に喋りが遅かったり単語が出てこなかったり明瞭な話し方でなかったりすると、頭の働きがとても鈍る感じがする。
速聴というものがあるが、あれは言葉を通常の5倍とかのスピードで聞き取れるようになるらしい。すると思考のスピードも上がるというのだ。思考のスピードの真偽のほどはともかく、自分が普段考えるときも言葉のスピードは喋りのスピード以上にはまず速くならない。これはもったいないなぁと思う。口の筋肉の限界や他人の言葉を租借する時間はないのだから、自分の頭の中の言葉のスピードはもっと速くていいはずだ。
そう思うと速聴ってのもいいかもなと思うし、近い効果を自分以外の人間と相互に発揮できる(と自分は思っている)早口もいいものだと思う。
要は「空気嫁」ってだけのような気がする。なんとなくだけど、リンク先の記事で問題としている「仕事」って「商談」のように見える。要するに相手を説得したりする仕事だ。そういうシーンで早口が活きることはまずないだろうことは想像に難くない。
余談だけど、自分は速いテンポで刺激を与えてくれていたとはっきり自覚できる人物を二人思い出せる。一人は予備校の英語の先生、もう一人は大学の先生。一方、早口で脱線しやすい人も二人思い出せる。一人は脱線のときとそうでないときがはっきり区別でき、脱線じゃないときは喋りのテンポがとても変化に富んでいる。脱線のときは怒濤のごとく脱線する。もう一人は、今回問題にしている、話が整理できないし人の話を聞いていないタイプである。
あ。今気づいたが最後の一人は必死に早口な気がする。あとの三人はネイティブの早口というか、速く喋ることが脳に対してそれほど負担になっていないタイプだ。つまり速く喋りながら別なことを考える余裕を持っているタイプ。先々の言葉が頭のキャッシュにたまっているので、ものすごいスピードで喋りながら電話に出るタイミングを伺い、出た直後から別な話をできる。電話から戻って前の話に戻るのも苦労なくできるような、そんな人だ。
問題は早口かどうかではなくて、余裕のなさかもしれない。