プロジェクトに参加していると言えない理由
フリーソフトウェア・プロジェクトに参加していないことの言い訳について (textfile.org)
まずはじめに。私の話じゃありません。念のため。
簡単に言うと、オープンソース系というか比較的オープンソースに強い会社の面接にくる人がオープンソースプロジェクトに参加してないとはどういうことやねん、という話なのだけど、すでに挙げられている理由としては
- 意志の欠如
- 自信のなさ
というものがある。しかし
- どんな貢献を必要としているのか分からない
というプロジェクト側の問題はないのだろうか? 「そんな分かりやすく手取り足取り教えてくれなきゃ貢献できないようなやつはいらねー」というプロ意識丸出し(?)な対応もあるだろうけど、どういうところで人が足りなくてこういう人材を求めている、と分かりやすく提示しなきゃそりゃほしい人材は集まるわけないと思う。で、現に分かりやすく提示できているプロジェクトがどれだけあるのかというと、結構あやしいんじゃないかというのが自分の感想だ。
「まー何かできるだろ」とか「やってから考えればいいや」と思えるのは強心臓な人か経験者でしょ。でもそういう人はたいていすでに何らかのプロジェクトに参加していてそんなに自由に時間が取れなかったりするから、フレッシュな戦力がほしいときにはやはり適切な情報の提示が重要だと思う。
あとは
- 「参加」の定義がよく分からない
ってのもあるんじゃないかな。ML には入ってみたけど話が高度すぎて全然ついていけないとか、そういうことってよくある1けど、この段階で「参加」とは普通呼ばないよね。プロジェクトの Wiki を小人として直したってのもたぶん「参加」とは呼ばない。そもそも小人として作業する人は表に出たくないから小人なのであって、オープンソースに参加してますとアピールするのが下手という、日本的だけどこれからの社会ではあまり嬉しくない特性を備えているに違いない。あるいはプロジェクトではないけど自分勝手に GPL のソフトを公開している、というのも「参加」とは呼ばないわな。
妥協かもしれないけど、「参加しているか」ではなく「どんなソフトに興味があるか」「購読している ML は」などのもう少し答えやすい問いを振るというのも採用側のテクニックじゃないかなと思った次第。「できる人」が雄弁とは限らない2わけだし、私のように日本語を書き殴ることも喋ることも好きだが実はスキル的にはたいしたことないという人間だっているんだから。でも
まず、「オープンソースソフトウェアのプロジェクトに参加したことがありますか?プログラムを書いたりしなくても、メーリングリストに入っているとか、作者にメールを書いたことがあるとかでもかまいませんので」と聞いたところ、誰もなし。では、「普段よく使っているオープンソースソフトウェアはありますか?」と聞いたところ、やっと一人だけいました。
アピール (ふぇみにん日記)
によれば、上に挙げたものはテクニックですらないようだけど(^^;、まぁその辺はおいおい考えるってことにして、気になるのは今のオープンソースうんぬんの話って、まだ声のでかさに頼っている部分が多くないか?って点。これは当然だと自分は思っているんだけど、みんながみんな concept work や自然言語によるアウトプットが得意な必要はない。むしろとにかく hack する人と concept work な人とデザイン担当とつなぎの人、みたいな役割分担できるのがいちばんいいんじゃないかと思う。さて、現状のオープンソース界隈で物言わぬ hacker を採ることは可能だろうか? 難しいですわな。ではつなぎの人は? もっと難しいでしょう。現状認識としてそれは仕方ないと判断するのはもちろんアリなんだけど、ずっとこのままってのはやっぱもったいないよな、と思う。だからと言って今何か対策を言えと言われてもいい案は出てこないけど。
それより個人的には、学生時代に社会人になってからでもできることに時間を費やすのはもったいないと思うので、社会人と同じ土俵に立つオープンソースプロジェクトへの参加はそんなに重要じゃないと思っていたりする3けど、その辺の話は長くなるので機会があれば別なときに。むしろ学生は学生の視点で「自分勝手にオープンソースプロジェクトを考えるプロジェクト」とか、なんかそういうことやってくんないかな。プロが平気で見落としている点が出てきそうで面白いんじゃないかと。または『はじめてのオープンソース』とか『できるオープンソース comitter』なんかを目指すってのはどうだろう。トリビアの種的なものはまだまだたくさんあると思う。真正面から課題解決を図るとか次善の策を考えるなんてのは年食ってからやればいい。若者は斜に構えるべきだっ。方向性と意味はともかく(ここ重要)「オープンソースなんてくそくらえ」くらいの気概がほしいぞ。