アンビエント・ファインダビリティ読了
読み始めてすぐに興味を失ったりしていた アンビエント・ファインダビリティ ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅をようやく読み終えた。本当は出始めの頃から興味はあったんだけど、なぜかなんとなく敬遠していた本。
副題に「ウェブ、検索、そして…」って書いてあるから意を決して買ったんだけど、内容的にはウェブはあんまり関係ないというか、まぁ現実社会で人間はウェブという情報ファーストフードを大量摂取してぶくぶくに太って身動き取れなくなっているケースも多いんじゃねーの?という警鐘的な内容1の方に大きく興味を引かれたというかいやな気分にさせられて、その印象が強くなっているところ。
逆に面白かったのは序盤の wayfinding(経路探索)のところで、人間を含めて生き物がどのように自分の周辺の環境を認知、識別、記憶し、経路を正しく導出するかというくだりは非常に興味深かった。ただし、テキストベースのドキュメントやメタデータをもとに情報のフィルタリングを半自動、あるいは全自動で行ってそれを判断材料にしている人間は、次の世代ではもう生の現実世界における経路探索能力を失ってしまうのではないかという、超悲観的な予想を勝手に立ててまたいやな気分を味わわされることになるのだけれど。
まぁいやな気分になってしまうのは、自分がコンピュータだの IT だの大好きなクセして、それが明るい未来を生み出すとは思えないというか、だからこそ逆に人間が生き物としてこの世に生きていることをどう捉え、どのように人間は生き、また次代の人間を育てなければいけないのか、ということをちまちま思い悩むのが好きな人間だからだろうと思います。きっとこの本のせいではないです。
内容は多岐に渡り、どうも発散してしまって結局なんだったのだろうという印象も残るが、いろんな学問分野への入り口が開かれている点は、理解しやすさや説明の丁寧さを除いて、とりあえず初学者にオススメなのではないかと思った。情報科学とか認知科学とかその辺の分野が割と近しい人向けというか。あと情報リテラシーを真剣に考えなければいけない教育方面の人も。
読み方としては、割とこの本の根底に流れている精神だと思うけど、各自が自由に自分の好きなフィールドに勝手に引き寄せてタグ付けすればよいのだなと感じた。正確な理解や内容の整理を意識過ぎてはいけない本なのだ、きっと。
もちろんそれだけじゃないよ ↩
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