PHP の各種設定を行える場所
基本的に3つあると思う。
- php.ini
- .htaccess
- 設定用関数を利用
で、普通 PHP の入門記事とかで触れられるのは 1 か 2 のはず。でも、実はこれ間違ってたんじゃないかって思い始めた。
まぁ確かにすべての項目を 3 の方法で設定できるわけじゃないんだけど、ほとんど困らないような気がする。
今までの方法は全部ダメ
php.ini は忘れた方がいいというか単なるデフォルト
まず php.ini , これは virtual host で複数サイトを展開する際、すべて設定が同じになってしまう。今からまっさらの状態で新しく始めるならこの設定にしておくべきというのがまずだいだい決まっているので、それに従って設定してしまうというのは確かにアリ。
でもちょっとでも歴史があった場合これだけじゃ絶対うまくいかない。sjis のサイト、euc-jp のサイト、utf-8 のサイトが入り乱れていること請け合い。あるいはオープンソース開発者でいろんなコード触ってるとかいう場合なんかも一つの php.ini でまかなえるはずがない。
だからもうこの際「インストールして php.ini を編集する」っていう流れは忘れちゃっていいと思うんだ。
.htaccess はサイトごとの設定を保持できるけどそれだけじゃダメ
..htaccess じゃなくて apache の conf の方がいいとかそんなことを言うつもりなし。
問題は CLI でスクリプトを起こしたときに .htaccess は役に立たないってこと。だからいちばんいいのは、
..htaccess などに
php_value auto_prepend_file CONFIG_FILE
と書いておいて設定は PHP で書く方法なんじゃないか、というのがこの記事の趣旨。
だいたい、.htaccess で設定を書くと PHP 独自定義の bool値も定数も存在しないので読みにくくなってしまう。
php_value error_reporting 2047
とか書かれててもすぐに意味が分からないし、php_flag なのか php_value なのかも気にしなきゃいけない。面倒くさいし、この部分、マニュアルもそんなに丁寧に書かれていない。
やってみよう
php.ini だと
mbstring.language = Japanese
mbstring.internal_encoding = utf-8
mbstring.http_input = pass
mbstring.http_output = utf-8
mbstring.detect_order = auto
これを .htaccess で書くと
php_value mbstring.language Japanese
php_value mbstring.internal_encoding utf-8
php_value mbstring.http_input pass
php_value mbstring.http_output utf-8
php_value mbstring.detect_order auto
これを PHP で書くと
<?php
// mb_http_input(); // 違う機能です
mb_language( 'Japanese' ); // ※ mbstring.language と同じ意味ではありません!
mb_internal_encoding( 'utf-8' ); // 自動変換の機能に対しては有効ではありません
mb_http_output( 'utf-8' );
mb_detect_order( 'auto' );
ただし上に書いたように注意事項もある。
- PHP の中ですべての設定を書けるわけではない
- PHP の中で行った設定が期待通りに働かない場合もある
特に 2 の方は一見うまく動いているように見えるので注意が必要。例えば
mbstring.internal_encoding()
を PHP の中で設定するときは
mbstring.encoding_translation off
とセットでないといけない。encoding_translation は PHP のコードを読み込む前に動く(でないと透過的な変換として機能しない)ので、php.ini あるいは .htaccess の段階で internal_encoding が決まっていないと正しく動作しない。逆に、この機能を使いたい場合は
mbstring.encoding_translation
mbstring.internal_encoding
は PHP の外でセットしておかないとダメ。最近では UTF-8 をそのまま使うことが多くなっているはずで、その際は自動変換の機能はなくても問題ないけど、そうでない場合は注意が必要。
PHP で設定を書かなくてもいいのは実はメリットじゃなかったのかも
今回なんでこんなことを思ったかっていうと、さっきも書いたけど
CLI で起動したとき .htaccess は生きてこない
ということに今さら気づいたから。しかし上の auto_prepend_file なら CLI でも以下の方法で設定を読み込むことができる。
php -d auto_prepend_file=CONFIG_FILE
CLI を活かせると、例えば大量の PHP のファイルの動作チェックの自動化とかできちゃう。もっとも、イマドキのアプリなら普通はフレームワーク使ってるし、フレームワークのテストに従ってるかもしれないし、ユニットテストがバッチリ動いててチェックも楽ちんなので全然関係ないかもしれない。
でもそうじゃない環境もある。絶対にある。そのとき、せめてこの方法が使えれば人の目と手でチェックするだけよりも確実に効率は上がる。上がるんだよ。
上の方法で
error_reporting( E_ALL );
ini_set( 'log_errors', true );
ini_set( 'error_log', '/path/to/error.log' );
とかしておいて
for i in `find /path/to/app -name '*.php'`;
do
cd dirname $i;
php -d auto_prepend_file=CONFIG_FILE $i;
done
とか回すとドバーっとエラーがログに吐かれる。いちいちブラウザで開いて回らなくてもよい。
まぁ CLI の場合は当然 HTTP 周りのパラメータがセットされないわけだけど、それも CLI での検証時だけ適当に補完するように CONFIG_FILE を書いてやればとりあえず騙せるのではなかろうか。
PHP スクリプトで変更できない設定を CLI 環境下で反映する
PHP のマニュアルで変更の可否が PHP_INI_SYSTEM と PHP_INI_PERDIR になっているものは php のスクリプトからは変更できない。ini_set() とか使ってもダメ。.htaccess を使えない CLI の場合はこうなると php.ini をいじるしかないけど、システム全体に影響する php.ini をいじりたくない場合は
php -c PATH
でそのときだけの php.ini を指定することができる。
というわけで
また一つ PHP ならではの機能がメリットでなくなったことを感じたのでした。(代わりに auto_prepend_file という PHP ならではの機能を使ってるんだけど。)
というかやっぱさ。今さらだけど php.ini や .htaccess でしかいじれない設定があるのってすっげーおかしくね? CLI だと
php -c PATH
で ini ファイルを都度指定できるけど、mod_php とかだと ini を切り替える方法ないよね? なんでこんな変な方針なんだろう。譲って言語の外で設定できることはよしとしよう。それが便利な場合もあるさ、というか実際便利だと思っていたこともある。でも言語の中で変更できないっておかしいよなぁ。