『SQLの絵本』で自分の読み方を再確認
『SQLの絵本―データベースがみるみるわかる9つの扉』をざっと読み終えた。本屋で並んでいたのを見て何気なく手に取ったものなんだけど、それなりに良かった。値段分の価値があるのかと言われると若干微妙な気がしないでもないけど、本を汚しながら読むのが好きな自分としては Web 上の資料だけでは飽き足らなくなってくることがよくあり、やはり本てのはよくできてるなぁと改めて思った次第。
ここ数年は金がないとか場所がないとかいう理由であまり本や雑誌を買わないようにしていた。Web 上に有用な資料が揃っているし、買わなくてもやっていけるだろうということと、都会の人間と違って通勤中に本を読むという習慣がないので、意外と本を読む時間は少なくなってしまい1、ほしい本を片っ端から買ってもどうせ消費できないことは容易に想像できたからである。
しかし画面とキーボードだけではやはりダメなんだなぁと再認識。情報の量や質という意味では今回の本は値段相応ではないように思うが、
- モノとして存在し
- そこに付箋を貼り、書き込みができる
- そのための十分な余白が確保されている
- しおりを挟んでどれくらい読み進めたのかが分かる
という点がやはり自分にはとても重要なんだなと感じた。単にリファレンスとしてほしいだけなら Web 上にある資料を全文検索に突っ込んでおけばいいんだけど、咀嚼して飲み込むためには本という物体が自分には合っているようだ。
あ、肝心の内容だけど、
- Windows で SQL を初歩から学ぶ人向けになっている
- DB の設計とかパフォーマンスとか気にしちゃダメ
- SQL 92 や 99 をベースにしていると書かれていて実際そうなのだが、一部に Transact-SQL(MS の SQL エンジン向け拡張 SQL)をベースにした記述もあり、最後には Windows 用の付録がついている
- したがって Lightweight Language で PostgreSQL や MySQL を始めたいという人はほんのちょっと注意する必要がある。ほとんどは初歩の初歩なので DBMS の違いを気にするレベルじゃないけど、例えばサブクエリの話は MySQL では 4.1 以降でないと使えない。イマドキ、フツーは 4.1 以降だと思うけど、この本ではそういう部分へのケアはない。
とりあえず初歩の初歩としていくつか用語と考え方が分かるという程度になら十分かなという感じ。すでに何らかの知識を得ている人には物足りないが、まったくの入門には悪くないように思う。以前取り上げた『データベース村へ,ようこそ (Standard Technology Books)』は DBMS そのものの話が中心で SQL はほんのちょっとしか出てこないので、ちょうど補完し合うことができるのではなかろうか。
学生時代のように本を読むことそのものが仕事のうちという状況でない限り ↩